アドミクス

タービン

タービンホイール
タービンホイール

チューニングエンジンの醍醐味といえばやはりターボでしょう。
元はといえば、より高いところを飛びたい戦闘機のために開発されました。
そのため、地上を走るクルマにおいてNAエンジンでは到達できない”圧倒的な吹け上がり”を実現できるターボエンジンにはとても魅力を感じます。

世の中にはたくさんのタービンが売られています。
何が良くて、どれがダメなのかという事は割愛させていただきます。
あくまでも一般論としての私の考えを書きます。

”良いタービン”とはどんなものの事を言うのでしょう?
低回転からブーストがかかる、耐久性がある、馬力が出る、といった所でしょうか。

しかしながら、それは本当にそうでしょうか?
1速、2速3000rpmで1キロかかるのは良いタービンでしょうか?
アクセル操作に追従せずにブーストが勝手にかかったり、掛かってほしいのに掛からないのは論外ですよね?
ハーフアクセル時にシュコシュコサージングは?

ターボエンジンは排気の通り道に風車があるわけです。
そしてその風車は空気をエンジンに送り出しています。
エンジンから出てくる空気に対して回転が変化します。

と、いうことはエンジンからの空気(排気)量の変化に対してリニアに回転が変化する事が大切です。
つまり、風車は羽根・羽根と同体の軸そのものが軽いほうが有利であるといえます。
それはつまり、羽根の軸受の構造はオイルフローティングのほうがいいのでは?…と思います。

ツイン、シングル等のレイアウトも悩むところです。

V型の場合はヘッドそれぞれに振り分けたツインが適しています。
Vでシングルとなるとマニホールドの形状、スペースの問題が出てきてしまうので、現実のクルマ(ユーザーカー)では無理があります。
水平対抗6気筒の場合もツインが有効です。
もちろん純正においてはそれぞれ両方にシングルが採用されている事があります。

直4の場合はシングルしかありません。
排気タイミングを考慮した場合、直4ツインは非常に効率が落ちます。
水平対抗4気筒は排気管長が長くなってしまうのを承知でシングルが採用されています。(純正においては例外的にシーケンシャルツインという複雑なエンジンも存在しますが)
ただ、この場合は排気損失が大きすぎてしまうためにエギゾーズトハウジングのサイズはかなり小さめのものを採用しなければなりません。

直6の場合がとても悩みます。どちらも甲乙付けがたい魅力があります。
ツインのなめらかな加速はとてもジェントルで大排気量NAのような味付けになります。
元来ツインはタービンは回りにくいのです。3気筒で回すわけですから。
そして回りにくいために過渡期においてもブースト変化が穏やかになります。
そのために純正採用されるのだと思います。
シングルはブースト変化のスピードが速いために、ある回転・負荷条件を境にエンジンが豹変します。
もちろん、組み付けるサイズによって大きく特性が変わってきますが、基本的にはその方向になります。

大切なのは、

エンジン側の要求するタービンサイズであり、
タービンが効率よく仕事ができるエンジン容量(カムの開度やリフト)と

を見抜いてパッケージングすることです。
もちろん、インタークーラーサイズやマフラー径等とのチョイスが非常に重要になります。

お店さんによっては完全にパック化して、このエンジンで500ならコレ、600ならコレ、というメニュー化をしています。
しかし、チューニングはオーナーの嗜好を出来るだけ反映させることも大切だと考えていますので、弊店ではメニュー・パック化は行っておりません。
見積もり時にお客様と綿密な打ち合わせを行い、出来る限りの希望、ワガママを実現したいと考えております。

何はともあれ、日本車が世界の名車に肩を並べる礎を築いたターボエンジンにこれからもドップリ浸かっていこうと思います。
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